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魔法陣使い#12

第12話「影法師(中編)」

宇宙に浮かぶ円盤都市コズモス。
ここに住む女の子たちの物語。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「おい!魔法陣使い!」
「え、あ、はい!」
わ!ゴーグルの人だ!
「ちょっと車両の先頭で避難してろ!」
え、避難って…何か分からないけどヤバそ!
わたしは急いで列車の前側に向かった。
ガコンッ
軽く揺れたかと思うと連結部分から向こうが外れてどんどん小さくなっていった。
「ようし、これで多少手荒いことをしても問題ないぞ」
いや、問題だらけですよ!
この人、これから何するつもり?
「魔法陣使い!バグズの真上の天井に
穴を開けられるか?」
「あぁ、はい!」
サーキットリーダーに『扉(ゲート)』をセット。
『魔法陣(サーキット)自動詠唱(ロード)』!!
「ありがと!」
ゴーグルの人はそう言うといつものより大きめの機械を構えた。

「離れてろ!」
やっぱりヤバい雰囲気。
慌てて車両のはじっこに逃げた。

次の瞬間、ゴーグルの人の構えた機械がまぶしく光ってバグズを包みこんだ。

バグズの体にキラキラと光る小さな破片が降りかかってる。

「あ、効いてる!」

最初は暴れていたけど、そのうちバグズは小さくなって最後には魔法陣に戻ってしまった。

これが『聖銀(ミスリル)』の力?
「どうやら上手くいったようだな」
ゴーグルの人がバギーを降りて中に入ってきた。

魔法陣を拾い上げてその能力を確認した。
「『走査(スキャン)』と『送信(センド)』か」

このバグズが人を自分の体を取り込んでたのって『走査(スキャン)』してたのか。

そして『送信』ってことは…

「このバグズを操ってた魔法陣使いは別の場所にいるようだな」

ゴトン。

「停まった?」
「ここは…?」
ホームのディスプレイには『建立記念公園前』と表示されている。

「どうやらここにバグズの魔法陣使いがいるようだな」

『建立記念公園』。
この大型宇宙船に街が作られたことを記念して作られた公園だ。
傾斜のある土地にあることから、高台公園と呼ばれている。

公園の真ん中辺りに人影?を見つけた。
「あの…」
「うん、アレがそれらしいな」
まだはっきりと姿は見えない。
「何をしてくるか分からない、
用心して近づくぞ」
「はい」
ゴーグルの人に言われた通り、右と左に分かれてバグズに近づく。

魔法陣を使うバグズ。
今までと違うってことだけで余計に緊張してしまう。

ゆっくり、少しずつ近づく。
バグズはまだ何もしてこない。
人影。
ちょっとひょろ長い。

公園のライトで影になって見えなかった姿が、少しずつ見えてきた。

あれ?私?
私の姿だ!?

あの髪型、あの顔、あの服。
ちょっとだけ背高のスレンダーボディ。
確かにわたしだ。

表情だけがわたしがした事のないような、何を考えてるのか分からない気持ちの悪い笑顔を浮かべてる。

なんで?なんで?

ひょっとして最初に魔法陣が暴走(原因はわたし…)した時にわたしとすれ違った影みたいなやつ???

自分の姿なのに鏡で見てる時とは違うヤな感じ。
どんどん不安な気分になってくる。

「ミツケタ、ミツケタ…」
私の顔したバグズがなんか言ってる。
ヒィ~!

「う?人間…なのか?!」
え、あれ?ゴーグルの人が思った以上にキョドってる。

「ゴーグルさん!」
「ゴーグル…?私のことか!私の名はー…まあいい、なんだ!」
「あれはバグズです!!」
「そう、なのか?」
「人の格好をマネしてるんです!」
「『複製(コピー)』のバグズか」
「多分!」
「多分って、大丈夫なのか?いくら私の武器が対バグズ用でも当たれば幾分怪我するぞ」
「大丈夫です!バグズってことだけは保証します!(本人がここだから)」
「魔法陣使いの勘か?まあいい、それなら遠慮なく一発入れておくぞ!」

ゴーグルの人がさっきの物騒な機械を『複製』バグズに構える。

パァーンッ!
辺りが明るくなって『聖銀(ミスリル)』がバグズの周りを包み込む。

ビュウッ!
!?

ゴーグルの人の機械から放たれた『聖銀(ミスリル)』が急に吹いた風に巻き込まれて辺りに散り散りになってしまった。

「風!」
「いやこれは魔法陣の効果だ!」

『疾風』?
この魔法陣は私がもっているハズ。
これも『複製(コピー)』ってこと?

「アナタハイラナイ…」
バグズの周りのガレキがフワフワと浮き上がった。

「あれは『浮遊』?」
今度は浮いていたガレキが『疾風』の流れに乗ってくるくる回転し始める。

ブンッ!
たくさんのガレキがゴーグルの人に向かって飛んでゆく!

「危ない!『障壁(ブロック)』!!」
慌てて魔法陣で壁を作る。

「大丈夫ですか?!」
「くっ魔法以外での攻撃とは!」
「魔法以外?」
「私の着ている対魔法用のスーツは、物理攻撃にはさっぱりなのだ!」
あれ?このタイミングでボケるって、意外に天然さん?

ブンッブンッ
そんなことも言ってられない。
次々にガレキが飛んでくる。
なんとかしないと!

攻撃が効かない。
悩んでる間にブロックが徐々に壊されてゆく。
「イラナイ、イラナイ」

「グゥッ」
ノノンさんにダメージ!
「大丈夫ですか?!」
「ゴーグルに当たっただけだ、大したことはない!」

このままではバグズに取り込まれてしまう…どうすれば?

『複製(コピー)』の目的は、オリジナルを正確にコピーすること。

最初にわたしをコピーした時、時間がなくて影しかコピーできなかった。

それで完璧になるため色んなものを自分に詰め込んでいたのかも?


「ゴーグルさん!」
「なんだ?」
「わたしを信用してくれますか?」

(第12話終)

魔法陣使い#11

第11話「影法師(前編)」

宇宙に浮かぶ円盤都市コズモス。
ここに住む女の子たちの物語。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「約束通り魔法陣に関する資料を探してきたぞ」
今日もノノンさんが一番乗りだった。
何となく機嫌が良さそう。

「上機嫌機嫌ですが何かありましたか?」
「いや、なんでもない」
やっぱり機嫌が良さそう。
この人、結構顔に出るなあ。

ノノンさんが持ってきた資料は、
300年くらい前のもので挿絵に何点か魔法陣も載っていた。

「あ、これは」
セイラが『ミスリル(聖銀)』についての記事を見つけた。

「へえー、『ミスリル(聖銀)って魔法の力を無効果しちゃうんだ」

ノノンさん、何か知らないかな?
部活動の報告書を読みふけっているノノンさんに声をかけた。
「ノノンさん」
「ん、何だ?」
「ノノンさんは『ミスリル(聖銀)』のこと知ってますか?」
「ミスリルね…昔は宗教的な装飾品の素材として使われていたらしいが」

「それって今でも手に入るものなんですか?」
「うーん…」
ノノンさんがちょっと面倒そうな顔をして言葉を詰まらせた。
「…お!時間だ、そろそら上がらせてもらうぞ!」
「あれ?待っ…帰っちゃった」

「忙しい方ですわね」
「うん、でもおかげでバグズの連絡も受けやすいよ」
「これからどんどんバグズタイムですものね」

「それにしてもミスリルって本当にあったんだ」
「魔法の力を無効化する金属だなんて、魔法少女の天敵ですわね」
「ゴーグルの人の持っていた機械もミスリルでできてるんだろうか」
「バグズや魔法の壁も消してしまったと言う
んですからその可能性は高いですわね」

「ゴーグルの人の目的って何なんだろ?」

「多分は魔法生物(バグズ)を退治する事なのでしょうね」

「わたしを襲ってみたり、魔法陣をくれてみたり」
この間、ゴーグルの人からもらった魔法陣
『疾風』『火炎』『氷塊』を見ながら考えてみた。

「メグ先輩を襲ったのも勘違いしていたのかも知れません」
「勘違い?」
「元はバグズは魔法陣から生まれたのですから魔法陣を操るメグ先輩は元凶と思われてしまっても仕方ありません」
「あーヒドイなー」
でもバグズが暴れ回ってる原因を作ったのは自分だから当たってるといえば当たってる。
「でもバグズを倒そうとしている姿を見て信用してくれたんですよね」
「多分(おとりにされたけど)…」
「それにしても今回のバグズは魔法陣を2枚持っていたのですね」
「うん、『氷塊』を『疾風』に乗せて飛
ばしてきてた」
「まるで誰かが意思を持って組み合わせたみたいですね」

「それってもしかして!」
「メグ先輩の他に魔法陣使いがいるという事でしょうか?」
「ゴーグルの人が探してるのは、その謎の魔法陣使いなのかも」

「とりあえず、これまで集めた情報をもう一度見直してみよ!」
「はい、ですの」
セイラが端末に今までに集めた資料を呼び出した。
「現場に謎の少女」「不思議な少女」「魔法少女?」「女の子…」
色んな呼び方で呼ばれてる。
「ゴーグルの女性」「銀髪の人物」「一撃で…」
ゴーグルの人のことも話題に上っていた。

「他の目撃情報は…と、あった!これだ!」

「謎の黒い人物」「怪人」「影人間」

わたしやゴーグルの人とは違ったの呼び方をされている人がまぎれていた!

バグズ騒ぎの他にも夕暮れ時に現れる怪人物として報告されている。

身体が透けてたとか目鼻が無くて口だけ笑ってたとか、もうホラーに近い…。

ちょっとだけシーンとなるセイラとわたし。

もうやめようか、と思いながら何となく「影人間」という言葉を見ているうちにぼんやりと思い出してきた。

「体が透けてる…影人間…あ」
一番最初、魔法陣が暴走し屋根裏部屋がたくさんのバグズで大パニックになった時に見た!
「もしかして影人間はあの時のバグズなのかも」
「という事はバグズ自身が魔法陣を使っているということでしょうか!」
「あの時、魔法陣も持ってかれちゃったってことかー」
「バグズの魔法陣使いがいたなんて…」
リンッ!
このタイミング、大家さんだ!
すぐに端末に出る。
「出たよ!今度は列車だ!」
「どんなバグズなんですか?」
「詳しい状況は分からないが、そのバグズに取り込まれると気を失ってしまうらしい」

何となく今までよりもヤな感じ…だけど、
「とにかく分かりました!」
魔法陣を取り出し『変身』!
サーキットリーダーをホウキに変えて飛び立とうとしたその時、セイラがわたしに話しかけてきた。
「待って下さい、わたくしも連れて行って下さい!」
「ダメだよセイラ、危ないよ!」
「わたくしが影人間を探し出します!」
なるほど。
「うん、分かった」
ホウキの後ろに乗るように合図する。
さすがにちょっと緊張しているみたい。
「わたしにしっかりしがみついていてね」
「はい!ですの!」
セイラがしがみついたことを確認してスラスターを全開にした。
やっばりちょっと怖いのか、セイラはいつもよりも強く抱きついている。

バグズが出た列車に向かった。
大家さんの話だと列車のコントロールが効かないらしく、何駅も止まらず通り過ぎているとのこと。
これは早いとこ止めなくっちゃ。

探知機を頼りに列車を探す。
いた!
探知機の針がその列車に引寄せられるように大きく振れている。

『扉(ゲート)』の魔法陣をロード。
列車の屋根に丸い穴が開く。

ホウキのスラスターを注意深く調整して列車の中へ。

突然列車の屋根に穴が開いてそこから魔法少女が降りてくるなんて、かなりシュールな光景なんだろうけど、バグズのせいでそれどころじゃないみたい。

いた!バグズだ!
バグズは逃げ遅れた人に近づいている。
止めなきゃ!

『氷塊(アイスキューブ)』!
『自動詠唱(ロード)』!!

魔法陣から生まれた氷の塊が次々とバグズにぶつかる。

ゆっくりとバグズがこっちを向いた。
ダメージは無いみたいけどこっちに気をひかせることができた!

「セイラ!今のうちにその人を避難させて!」
「はい、ですの!」

さて、これからどうしよう。
何のバグズだか分からないぞ。

氷じゃダメっぽいし、車内で使うのはちょっと危険だけど『火炎(ファイアボール)』!!
いくつもの火の玉がバグズの中に取り込まれてゆく。

氷も火もダメかー。

じゃあ「『麻痺(パラライズ)』!!」
ほんのちょっとだけどバグズの動きがにぶった。
効いた?
と思ってたらすぐに動き始めた。
一体どうしたらあのバグズにダメージを…「あ」
気がついたらいつの間にか追い詰められていた。
攻撃方法考えるので頭がいっぱいで忘れてた!
こんなところで〜!!!

もうダメ!と思ったその時だった。
「おい!魔法陣使い!!」
電車の外からその声は聞こえた。

(第11話終)

魔法陣使い#10

第10話「部活動」

宇宙に浮かぶ円盤都市コズモス。
ここに住む女の子たちの物語。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

次の日、ノノンさんは誰よりも早く部室に来ていた。

「遅かったな、さぁ部活動を始めよう」
私たちが何か言う間も無く、さっさと部室の端末を起動し始めた。

興味深そうに魔法陣の資料を読むノノンさん。
「ほぉ…魔法陣の読み取り機か、面白い」

「はい!今日はここまでなのですわ!」
セイラがすごい勢いでノノンを止めた。
「!!何?」
「ここから先は『ギブ・アンド・テイク』なのですわ!」

「ギブ?なるほど、代わりに私も情報の提供が必要というわけか」
「そのとおり!なのですわ!」

自分が考えてたよりずっと話が早く進んでる。でも?
「今日の私はギブするものを持ってきてないぞ、どうする?」
「はい!今日はノノンさんの事を詳しく教えて下さい!」
「詳しくって言っても、大体の事は調査済みなんだろ?」
「もっと詳しくです!好きな食べ物は?色は?普段どんな音楽を聴かれます?シャンプーとトリートメントはどちらを利用されているのですか…」

おぉう、出るわ出るわ。
セイラの質問の嵐が止まらない。
さすがのノノンさんもアワアワしてる。

…小一時間後、セイラの質問責めが終わった。

なかなか充実した時間だった。
その代わりノノンさんはぐったりしているけど。

「さあ、これから資料を見せてもらおうと思っていたが、時間がきてしまったので今日はここまでとさせてもらおう」
「あ、はい」
「次に来る時は立ち入り禁止区域にある魔法陣に関する資料を持ってこよう」
そう言うとノノンさんはさっさと部室を出て行ってしまった。

結構長くいてくれたなあ。
「あぁ楽しかったですの」
「セイラ、しゃべりすぎ」
「次はどんなお話をしましょうかー」
「そんなことしてたら仲良くなる前に逃げられちゃうよ」
「大丈夫ですのー」
その自信はどこから…

リンッ!
大家さんからバグズ出現の連絡だ!
今日はコソコソ隠れないで連絡を受けれる。

「バグズだよ!メグミちゃん!」
「ミッドノールさん!今度はどこに出たんですか?」
「Oブロックの公園だ!バグズの特徴は、多分氷のようだけど何かそれだけじゃないみたいなんだ」
「どういうことですか?」
「この件に関する投稿がみんな切羽詰まる感じなんだ」
えぇー。

「なんかヤバそうですね」
「うん、まずは行くだけ行って状況を見てきてほしい」
「はい」
「それで自分の手に負えなさそうな時は、もう一度連絡して」
「分かりました!」
ひぇー。

怖いけどまずは変身!
「『魔法陣(サーキット)自動詠唱(ロード)』!!」
大家さんから情報を元に探知機を頼りにOブロックの公園に向かった。

しばらくして公園に近づいた。
バグズは…いた!氷のかたまりみたいなやつに周りキラキラしたものがたくさん浮いている!


時々キラキラしたものがすごい勢いでどこかに向かって飛んでいる。
なんだ?


ゴーグルの人だ!
あの氷のバグズはゴーグルの人を攻撃していたのか!

どうする?私!
なんて言ってられない。
とにかく助けないと!

『障壁(ブロック)』!!
ゴーグルの人の前に魔法の壁を作り、氷のバグズの攻撃を防いだ。

「!…魔法陣使い!!」
ゴーグルの人が自分に気がつきこっちを向いて叫んだ。
「あわ…今は攻撃は無しにして下さいよー」
勢いで助けちゃったけど、次から次に飛んでくる氷のかたまりを防ぐのに精一杯で今ゴーグルの人に襲われたらアウトだ。

「おい、協力する気はあるか?」
「え?」
以外なセリフでちょっと戸惑う。

「あ、はい!あります!」
「よし!じゃあ今だけ貴女を信用する」
そう言うとゴーグルの人は腰のベルトに付けているケースから何かを取り出して私の方に投げてきた。

「これは!」
魔法陣!

『火炎』とメモしてある。
「それを使え!どうせ私には使えん!」
なるほど!

「私を攻撃するなよ」
冗談っぽくゴーグルの人が付け加えた。
いや、それはないっす。

「ありがとうございます!」
『火炎』をリーダーにセットして『氷』
のバグズに狙いを定める。

『魔法陣(サーキット)自動詠唱(ロ
ード)!!』

たくさんの火の玉が『氷』のバグズに向かって飛んでいく。

ジュ!
飛んできた氷に火の玉がぶつかってその場で解けて消えてしまった。

これはいける!
「魔法陣使い!その調子だ!もっと火の玉を作ってバグズを打ち負かせ!」
「はい!!」
私は夢中で『自動詠唱』を繰り返した。

ジュ!ジュ!ジュジュ!!
火の玉と氷がぶつかるたびにものすごい湯気が辺り一面にたちこめる。

だんだんバグズもどこにいるか分からなくなってきてしまった。

「うわぁ、攻撃が防げてるのはいいけど、なんにも見えなくなってきたぞ」
ちょっとヤバいかも…。

ちょっとした瞬間、湯気の向こうでぼんやり見えていたバグズの影を見失ってしまった。

「あれ?バグズは?ゴーグルの人?」


バグズだ!知らない内に私の後ろに回り込まれてしまった!
もうだめ!

そう思った瞬間、バグズが光に包まれたかと思うと消えて無くなってしまった。

何?なに?どうなったの?
「危ないところだったわね」
ゴーグルの人!

「貴女が辺り一面蒸気で視界をゼロにしてくれたおかげでバグズに気付かれずに倒すことが出来たわ」
「え、それってどういう…」
「囮になってくれてありがとう!」
えぇぇ〜!!!

「そそそ」
うまく言葉がでてこない。

「ご褒美にその『火炎』と今回の魔法陣はあなたのものにしてもいいわよ、
くれぐれも悪用しないように!」
そう言うとゴーグルの人は私に魔法陣を手渡してさっさといなくなってしまった。

『氷』と…『疾風』、また風の魔法陣だ。『旋風』よりもちょっとレベルが高いのかも。

リンッ
大家さんからの呼び出し音。
「メグミちゃんかい?今まで通信障害が起こっていて連絡が取れ無かったんだけど何かあったかい?」
「はい、色々あったけどなんとかなりましたー」
説明しにくかったので色々で済ませてしまった。

結局魔法陣はこの間のも合わせて回収出来たので結果オーライだったんだけど、何だかしっくりこない〜!

しばらく人間不信になりそう。

(第10話終)

魔法陣使い#09

第09話「勧誘(後編)」

宇宙に浮かぶ円盤都市コズモス。
ここに住む女の子たちの物語。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「ノノンさん、入部してください!」

「…フン」
一瞬の間を置いた後、ノノンさんは鼻で笑った。

「どうして私が貴女たちの部に入らないといけないの?」

「ノノンさん、魔法に興味があるのですよね!」

「何をばかな」

「だって先ほど私たちに魔法陣についての質問をされていたではないですか」

「あれは魔法なんていう絵空事を真面目にやってる奴がいる事に興味を持っただけだ」

ごもっとも。

「そんな言ってちょっと嬉しそうな顔してましたよー」
ノノンさんの正論にも負けずに押しまくるセイラ。(自分が勧誘された時のことを思い出す)

ちょっと呆れ顔のノノンさん。
金色のロングヘア。グラス(眼鏡)タイプのディスプレイを付けた蒼い瞳。

装飾の少ない機能的で清楚な服装。
いかにも出来る女性って感じだ。

胸元にはワンポイントのレトロチックなデザインの首飾りの宝石が小さく光っていた。

その瞬間
リンッ!
私の端末から着信音。

一瞬全員が固まる。
うわー気まずい…。
ついでにこのまま退室しちゃおうか。

セイラに目で合図。
全然大丈夫じゃないって顔してたけど小さくうなずいてくれた。

「…」
「…」
「…」

「あのぉ私、急用を思い出したのでぇ」
「そうそう先輩は急用ですの!」
「急用?」

「…それじゃセイラ、あとよろしく!」
「はい、ですの!」
「あ!ちょっ…」

すごくわざとらしい出方をしてしまった。
遠くでノノンさんを必死に引き止めるセイラの声が聞こえた。

ゴメン!と思いつつ端末の呼び出しに出た。
「ミッドノールさんバグズですか!」
「あぁ、今回は大図書館らしい!」
「え!じゃあこの辺に?」
「メグミちゃんはまだ学校にいるのかい?」
「このままバグズを探します!」
「分かった!でも気を付けて、
今回のバグズは電気を使うらしい」
「電気?分かりました!」

魔法少女に『変身』したあと、サーキットリーダーをホウキに変え『浮遊』と『旋風』で上昇。
空からバグズを探した。

目立って騒ぎになっている所は見当たらない。
あ、そうだ!探知機!
慌てて探知機を取り出し反応を見た。
探知機の針がちょっとだけ動いた。

針が向いているその先は…
あれ?これって私が来た方向。


セイラたちは?!
「きゃっ!」
短いセイラの悲鳴。
いけない!
スラスター全開でホウキを飛ばす。

いた!
セイラとノノンさん。
近くには…黒い煙玉?
なんかピカピカしてる。
あれ?ピカピカが消えた?
…ちょっとヤな予感。

ビカッ!!
予感的中!
煙玉から光の矢みたいなものが飛んできた。
何!今の?!
最初何が起こった分からず、プチパニックになってしまったけど、どうやら狙ってたわけじゃないらしい。
でも何だかそろそろ危なさそう。

急がなくては!
セイラに近づく。

煙玉もまた光始めている!
いけない!
急いで『障壁(ブロック)』をセット
『自動詠唱(ロード)』!!

二人の前に出した魔法の壁が煙玉の光の矢を防いだ。

「ふぅ、危ないとこだったー」

「早く逃げて!」
セイラが動こうとしないノノンさん
の手を引っ張って離れてくれた。

よし!
『障壁(ブロック)』ともう一枚、
『✖️6(キューブ)』の魔法陣を取り出してセットした。
『自動詠唱(ロード)!!』

6枚のブロックが煙玉を取り囲み、そのまま四角い箱になって閉じ込めた。

効率の良い魔法の使い方か…
確かにこの間よりもラクに戦えたかな。
やっぱり頭も使わないとダメなのかー。

煙玉はしばらく箱の中でゴトゴトやってたみたいだけど魔法の力が切れたのか、ちょっとしたら静かになった。

『障壁✖️6(ブロックキューブ)』を解除。
魔法陣を回収。

魔法陣の走書きには『雷雲』と書いてあった。

「ら…い、うん?電気と関係ある言葉なのかな?」※

※メグミは人工的に作られた環境で生まれ育ってきたので雷のことを知りません

さぁて、変身解除でもしましょうかと思ったその時、
「ちょっと!あなた!」
いきなり呼びかけられてビクっとなる私。
誰?

ビクビクしながら振り向くと怖い顔をして立っているノノンさん!と必死に止めようとしてたんだろうなという感じのセイラがいた。

「なん…でしょうか?」
ツカツカとノノンさんが私のすぐ近くまでやってきた。

じっと私をにらんでる。
近い近い…。

「あなたが何者で何を企んでるかは知らないけど、とりあえずお礼を言っておくわ」

「え?あ、はい…」

ノノンさんはそれだけ言うと回れ右して、さっさと行ってしまった。

セイラもあっけにとられてその場に立ちすくんでいる。

あー緊張した。
バグズの相手をするより疲れたかも。

「セイラ、ありがとね!」
「メグ先輩もご苦労さまですの!」
抱き…ついてこなかった。
あ、変身中だから?
彼女なりのポリシーなのだろうか。

「それじゃ、ひとまず部室に戻ろっか」
「はいですの」

途中、セイラに『雷』について教えてもらっている内に部室に到着。

「さあて、あれ?」
誰かいる!?
「メグ先輩、どうかされました?…!」

「ノノンさん!?」
なんとそこにはノノンさんが、当たり前かのような顔で座っていた。

「遅かったな」
「どうしてここに!?」
「入部する事にした」
「急ですね?」
「さっきそこで魔法生物と魔法陣使いに会ってな」
「はぁ…」
「書架探訪部(ここ)」は、魔法陣の事を調べているのだろ?」
「はい、一応」
「じゃあ、決まりだ」
「えぇ…」
「但し!ここには私が来たい時にだけ来るから」
なんとフリーダムな。

「分かりました!」
ここでセイラが元気に返事をした。
え、いいの?
「それじゃノノンさんは幽霊部員からのスタートですね!」
幽霊部員って。

「え、あ、いや…」
さすがのノノンさんも戸惑ってる。
「少しずつ、お知り合いになって部員を目指して下さいね!」
幽霊部員ってランクアップするものなのか?
「そういうつもりでは…まぁいい」
ノノンさん諦めのポーズ。
「それじゃ入部決定ですね!」
セイラと顔を合わせる。
「よろしくお願いします!!」

これで魔法陣の秘密に一歩近づけた。
まずはノノンさんともっと親しくならないと。
お友達になれるかな。

(第09話終)

魔法陣使い#08

第08話「勧誘(前編)」

宇宙に浮かぶ円盤都市コズモス。
ここに住む女の子たちの物語。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

昨日は色んなことがあった。
空を自由に飛べたり、謎の人物から命を狙われたり、後輩に正体がばれたり。

それにしてもエネルギー効率の良い魔法陣とか、なんかイメージしてたものより現実的。

次の日、セイラと待ち合わせてMブロックの繁華街に行ってみることにした。

待ち合わせの場所にぎりぎり到着。
セイラはすでに待っていた。
「メグ先輩!」
「おはようセイラ」
「お体の方はもう大丈夫なんですか?」
「うん、一晩寝たら戻ったよ」
「良かったー!」
私の健康を確認してからやっぱり抱きつかれてしまった。

セイラをふりほどきながら目的地に向かう。
結局あの時魔法陣を回収できなかったので、まだ残っていないか探しに来たのだ。

現場に到着。

『旋風』の時とは違い、暴れたのが『火炎』のバグズだけに、あちこちに『KEEP OUT』のバリケードテープと焦げ臭い匂いが漂っていた。

「ニュースでは連続不審火という扱いのようですわ」

セイラの持ってきた端末でネットの情報を見ながら教えてくれた。

その時の画像もたくさん投稿されていたけど、やっぱりバグズや私の変身した姿は写ってはいなかった。


そうだ!ゴーグルの女の人は!?
…あれ、見つからない。
偶然?それとも彼女も魔法陣使い?
話題にくらいにはなってると思うんだけど。
周りの人はそれどころじゃなかったのかな。

気になるとこだけど、とりあえず今は後回しにしておこう。

昨日バグズと対決した場所あたりにきた。

やっぱりここにもバリケードテープがあちこちに張られていた。

見張りのおまわりさんが立っていたけど火事の現場が多すぎてまだここは現場検証的なものはまだのようだ。

セイラといっしょに慎重に探してみたけど、見当たらない。
一応念のため持ってきたバグズ探知機も反応なし。

残念。
大した手がかりも見つけられないままNブロックに帰ることにした。

やっぱり燃えちゃったのかなぁ。
それともゴーグルの女の人が?

それにしても、あの人の魔法を打ち消す機械なんてなんであったんだろう?
魔法陣だってこの前、大家さんの所で偶然に出てきたとこなのに。

「…」
「メグ先輩、急に黙り込んでどうされたのですか?」
「あ、ごめん、魔法を打ち消す機械のことを考えてたんだ」
「お話しされていたゴーグルの女性が持っていたというものですね」
「うん、偶然にしてはタイミング良すぎな感じで」
「そうですね、ミッドノール先生のお祖父様の資料ではどんなに探してもそれらしい文献が見つかりませんでしたし…」
「これはやっぱり大図書館の立ち入り禁止区域にある本でも探さないとダメかなぁ」
「そうですわね」
「それじゃますますフューリーって人と仲良くなって友達にならないと!」
「ふふっ」
またセイラにちょっと笑われた。

次の日から魔法陣に関する資料探しをしばらくお休みして、立ち入り禁止区域に入る権利を持っているノノン・フューリーさんと仲良くなるための調査をすることにした。

「ノノンさんと言えばこの間の『火炎』バグズの事件があった時間の少し前位に大図書館の立ち入り禁止区域で見かけました」
「へえ」
「何かきっかけをと思いまして、しばらくその場で待っていたのですが…」
あーそれで部室にいなかったんだ。

「10分か15分位経った頃でしょうか、突然、立ち入り禁止区域から飛び出してこられて、声をかける間もないまま駐車場のスクーターに乗って商店街の方に走り去ってしまわれました」

その後、商店街まで歩いて空から降りてきた魔法少女(私)を見つけたとのこと。

なんという幸運。
今思うとセイラが見つけてくれて本当に良かった。
「あの時はありがとね!」
「メグ先輩にお礼を言われてとっても嬉しいです!」

「ノノンさんを探るといっても授業に出なければいけないし、よく考えてみたら結構大変」

「まずは放課後、立ち入り禁止区域の前で待ち伏せしてみませんか?」
セイラが提案してくれた。
それが一番確実かな。
「うん、それでいこう!」

次の日の放課後、セイラと待ち合わせて大図書館の立ち入り禁止区域に行ってみた。

昼間はたくさんの人で静かながらもにぎやかな場所だけど、この時間になるとひっそりとしている。

「あ、いた!(小声)」
ノノンさんだ。
いつもは部室にいる時間だから気が付かなかったけど、毎日決まった時間に来てたのか。

立ち入り禁止区域の前で1時間。
「出て来た!(小声)」

そのまま大学の研究棟へ。
これまた関係者以外立ち入り禁止だ。

仕方がないので近くのベンチに座って出てくるのを待った。

「意外と退屈だね」
「尾行は待つのが基本ですから」
仕方がない、ガマンして待とう。

それから30分ほどしてノノンさんが研究棟から出てきた。

「あの先は…」
「駐車場ですわね」

この間のセイラの話ではスクーターに乗って出て行ったんだっけ。

さすがにスクーターにはついてゆけない。
「女子高生の行動力ではここまでかー」

そう思っていたその時、ノノンさんが振り返って戻ってきた。

あれ?ノノンさん、こっちに来る?
慌てて知らないフリをしてみる。
が、そんなのでごまかせるわけもなく、ノノンさんはまっすぐこっちにやって来た。

「何の用?」
「いえ、私たちはたまたまここにいただけで…」
「大図書館からずっとつけてきてたでしょ?」
「あの…」
「研究棟に入ったあともここで待っていたようだし」
「え?そんな」
黙ってノノンさんは研究棟を窓を指差した。
「あそこからここ丸見えなんだけど」
あぁ〜っ!全然気っかなかった〜!!
「いやぁそのあの」
ノノンさんのジト目が痛い。
その時、
「あの!」
今まで黙っていたセイラが大きな声で話しだした。
「何…だ?」
ノノンさんもちょっと驚きで声の勢いが落ちた。
「私たち、部活動で魔法陣を研究しています!!」
「魔法陣?」
「そ、そうなんです!二人で資料を探してるんですよ」
「でも大図書館では文献が少なくて…」
ノノンさん、あきれた顔でこっちを見てる。
「魔法ならファンタジーのコーナーにいくらでもあるだろう」
「違います!私たちが探しているのは実在した魔法陣の方です!」
「ほう」
ここでノノンさんの顔つきがちょっとだけ和らいだように見えた。

「魔法陣についてどこまで調べたの?」
「それなり、です!」
セイラはあえて答えをぼやかした。
「それなりね、ふーん」
ノノンさんはセイラの話に興味を持ったみたいだ。

「それで私に何を要求するつもりだ」
ノノンさんがストレートに聞いてきた。
「はい、ノノンさんには…」
私が答えようとしたその瞬間、セイラが突然切り出した。

「ノノンさん!入部して下さい!!」
「えぇ〜!?」
まさかの入部勧誘発言。
ノノンさんどころか私も驚いた。

このあとどうなるの?

(第08話終)
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