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魔法陣使い#07

第07話「イレイザー」

宇宙に浮かぶ円盤都市コズモス。
ここに住む女の子たちの物語。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

そわそわしている。
バグズ出現の連絡を待っているのだ。
飛びたい、飛びたい、試したい!
あーでも夕方にならないとバグズも
出てこないんだっけ。今は勉学に勤しもう。

放課後、部室に向かう。
ガラッ
あれ?セイラが来てない?
私より来るのが遅いなんて珍しいな。


その時、私の端末に大家さんから連絡
が入った。
「ミッドノールさん、バグズですか?」

「ああ、今度のはどうやら炎らしい、
場所はMブロックの繁華街だ!」

Mブロックは駅前商店街の線路を隔てた向こう側だ。

「探知機は反応してるかい?」
「はい!Mブロックの方向を指してます!」

探知機の中の宝石がわずかに輝き始めている。

「うん!その方向に真っ直ぐ進めばバグズを見つける事ができるはずだ!」
「分かりました!」

「魔法陣(サーキット)自動詠唱(ロード)!!」

魔法少女に変身!
サーキットリーダーを魔法のホウキに変形させスラスタを全開!探知機を頼りに目的地へ!!

「うわっ速い!」
これまで歩きだったせいもあるけど、空からだと道とか関係なしに一直線で目的地にいける。(爽快…)

着いた、M地区だ!

バグズが暴れただろう辺りに小さな火の手が上がっている。

「これは早く捕まえなくっちゃ!」
探知機の反応を頼りにバグズを探す。

いた!
炎のかたまりだ。

リーダーに魔法陣をセット!
『捕獲(キャプチャー)』!!

『炎』のバグズに向かって『捕獲』の光の檻が取り囲むように伸びる。

「捕まえ…あ!」
『炎』のバグズが四つに分かれ、『捕獲』の檻からすり抜けた!

マズイ!まさか分裂するなんて。
魔法陣『麻痺(パラライズ)』!
今度は見事に命中!

…しかし、『炎』は『麻痺』に打ち消され跡かたも無くなってしまった。

「本体じゃない!」
じゃあこっち?
また違う!

バグズの本体が分からず、まごまごしてるうちに本体が分裂した。

しまった!
とにかく捕まえないと!
『麻痺(パラライズ)』!!

何体か炎を消すことができたけど、本体を捕まえることができない。

それどころか炎の増えるスビードが早くてどんどん増えてきた。

いけない!
このままでは辺りに燃え移ってしまう!
本体さえ分かれば…一体どれだ?

あ!探知機!
手元の探知機を取り出して中の針を見てみる。

宝石が強く輝き一点を指し示しているのが分かる。

あれが本体だ!
今まさに分裂の真っ最中、早く捕まえないとまた分からなくなってしまう。

慌てて魔法陣をセットしようとしていたその時、目の前がパーっと明るくなり、次の瞬間バグズがいなくなっていた。

何?どうしたの?
リーダーと魔法陣を持ったままキョロキョロと周りを見渡す。
他のバグズも消えてしまったようだ。

ん?
少し離れたところに人影を発見。
大きなゴーグルを付け、防弾ベストを着た、多分女性だ。

私の方にやって来た。
「あなたがバグズを倒してくれたんですか?」

長い銀色の髪。
ゴーグルに隠れてどんな顔をしているか分からない。

「そう、私が『バグズ』を消した」
そう言いながらその女性は手に持っている機械を私の方に向けた。

「あの、それは一体…」
「大丈夫、怪我はしないわ」
そうは言ってるが何やら嫌な予感。

「あなたが『バグズ』じゃないならね」

その女性の持っている機械の先がまぶしく光りだした!

ピカッ!

予感的中!
危ないところで避けた!

ぶ、ぶぶ『障壁(ブロック)』!
慌ててそれっぽい魔法陣をロードした。

ゴーグルの女の人の前に魔法の壁が現れる。

でもすぐにピカッと光ったかと思うと魔法の壁は消えてしまった。

『障壁(ブロック)』!『障壁(ブロッ)』!!『障壁(ブロック)」!!!

頭がパニックになりながら、とにかくいくつも魔法陣をロードした。

ゴーグルの女の人は何度か光らせて『障壁(ブロック)』を消してたみたいだったけど、そのうちに光らせなくなった。

諦めてくれた?
今の内!
「魔法陣『浮遊』!『疾風』!」
サーキットリーダーをホウキ型に変えその場から飛び去った。

あとは、その場から離れたかった。
Mブロックから線路を越えてようやくいつものNブロックまで戻ってきた。

フッと安心したせいか、急に疲れが襲ってきた。

「あれ…?」
なんかヘンだぞ?
私何でこんなに疲れてるの?

いけない…このままでは、途中で落っこちてしまう。

疲れで気を失いそうになりながら何とか商店街近くの森にたどり着いた。

「もう限界…」
私は気を失った。

(あ、誰か近づいてくる…)

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

夢を見ない真っ暗な時間。
一瞬のような、それともずっと長いような。
よく分からない内に目を覚ました。

いつものベットにいつもの天井。
…ここは、いつもの自分の部屋だ。

薄暗いから朝じゃない。
あれ?いつ寝たんだっけ?

上半身を起こして周りを見る。
あれ?
「セイラ?」
「先輩?良かったー!!」
いつもより、ちょっぴり優しめに抱きついてきた。

「私、どうして…」
まだ考えがまとまらない。

「メグミ先輩は商店街の脇の森で気を失っていたんですよ」

「森で…」
やっぱりNブロックのことは夢じゃなかったんだ。

「セイラが見つけてくれたの?」
「はい、先輩が空から降りてきて…」

「あ、う、セ、セイラ、見たの?」
「はい!最初は不思議な格好の女の子だなと思ってたのですが、降りたらすぐに先輩の姿に変わられて、びっくりしました」

やっぱり見られてた!
「セイラ、あのね、実はね」
「大丈夫ですよ、ミッドノール先生からこれまでのことみんな聞きましたから」
「あ、そうなの?」
大家さん、あっさりと教えたなぁ。

よく見たらセイラの脇に魔法陣の資料が山積みになっていた。

そのあと、大家さんと奥さんに目を覚ましたことを知らせ、私の部屋でこれまでのことを話した。

「魔法を物理的に打ち消す機械か、そんなことができるなんて考えもつかなかったなぁ」

「私の魔法も消されちゃいました」
「そういえばメグミちゃんはいくつも魔法で『障壁(ブロック)』を出したって言ったね」
「はい、怖くて10個か20個か、何個出したか良く覚えてません」
「なるほど」
ここで大家さんはちょっと考えて。
「メグミちゃんの極度の疲労は、やっぱり魔法を使い過ぎかな」

「ミッドノール先生のお祖父様の仮説によると魔法は別の世界のエネルギーだそうですね」

セイラは私を看病している間、魔法陣に関する資料を読み漁っていたそうだ。
もはや私より詳しい。

「そう、そのエネルギーを魔法石やその力を媒体する体質の人間が別の世界から取り出している、大雑把に例えると大きな水のタンクに蛇口を付けて水を出しているって感じかな」

「えっと…魔法が水で私が蛇口ってことですか?」

「そう、全身を使って別の世界から魔法を取り出しているから、たくさん魔法を使うという事はたくさん体力を使うという事だね」

あぁ、魔法ってもっと頭脳労働なものかと思ってたんだけど結構体力が必要なんだな。

「あと、ゴーグルの女性が『障壁』の削除を途中で諦めたって言ったけど、何回目くらい?」

「ちゃんと覚えてないんですが、3回か4回目くらいだったと思います」

「随分早く諦めちゃってるんだな、大量にエネルギーを消費するか」
「物理的な弾数があるのでしょうか?」
セイラが話を合わせる。

「今後はこの事についても調べよう」

ちょっとシリアスな雰囲気になっちゃったが、セイラの一言ですぐに元に戻った。

「それにしてもメグミ先輩、可愛かったですよー魔法少女の格好♪」
「ちょっとからかわないでよ!」

気にしてないつもりだったけど改めて言われると恥ずかしい。

次、変身する時はデザイン変えようかな。

(第07話終)
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