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魔法陣使い#09

第09話「勧誘(後編)」

宇宙に浮かぶ円盤都市コズモス。
ここに住む女の子たちの物語。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

「ノノンさん、入部してください!」

「…フン」
一瞬の間を置いた後、ノノンさんは鼻で笑った。

「どうして私が貴女たちの部に入らないといけないの?」

「ノノンさん、魔法に興味があるのですよね!」

「何をばかな」

「だって先ほど私たちに魔法陣についての質問をされていたではないですか」

「あれは魔法なんていう絵空事を真面目にやってる奴がいる事に興味を持っただけだ」

ごもっとも。

「そんな言ってちょっと嬉しそうな顔してましたよー」
ノノンさんの正論にも負けずに押しまくるセイラ。(自分が勧誘された時のことを思い出す)

ちょっと呆れ顔のノノンさん。
金色のロングヘア。グラス(眼鏡)タイプのディスプレイを付けた蒼い瞳。

装飾の少ない機能的で清楚な服装。
いかにも出来る女性って感じだ。

胸元にはワンポイントのレトロチックなデザインの首飾りの宝石が小さく光っていた。

その瞬間
リンッ!
私の端末から着信音。

一瞬全員が固まる。
うわー気まずい…。
ついでにこのまま退室しちゃおうか。

セイラに目で合図。
全然大丈夫じゃないって顔してたけど小さくうなずいてくれた。

「…」
「…」
「…」

「あのぉ私、急用を思い出したのでぇ」
「そうそう先輩は急用ですの!」
「急用?」

「…それじゃセイラ、あとよろしく!」
「はい、ですの!」
「あ!ちょっ…」

すごくわざとらしい出方をしてしまった。
遠くでノノンさんを必死に引き止めるセイラの声が聞こえた。

ゴメン!と思いつつ端末の呼び出しに出た。
「ミッドノールさんバグズですか!」
「あぁ、今回は大図書館らしい!」
「え!じゃあこの辺に?」
「メグミちゃんはまだ学校にいるのかい?」
「このままバグズを探します!」
「分かった!でも気を付けて、
今回のバグズは電気を使うらしい」
「電気?分かりました!」

魔法少女に『変身』したあと、サーキットリーダーをホウキに変え『浮遊』と『旋風』で上昇。
空からバグズを探した。

目立って騒ぎになっている所は見当たらない。
あ、そうだ!探知機!
慌てて探知機を取り出し反応を見た。
探知機の針がちょっとだけ動いた。

針が向いているその先は…
あれ?これって私が来た方向。


セイラたちは?!
「きゃっ!」
短いセイラの悲鳴。
いけない!
スラスター全開でホウキを飛ばす。

いた!
セイラとノノンさん。
近くには…黒い煙玉?
なんかピカピカしてる。
あれ?ピカピカが消えた?
…ちょっとヤな予感。

ビカッ!!
予感的中!
煙玉から光の矢みたいなものが飛んできた。
何!今の?!
最初何が起こった分からず、プチパニックになってしまったけど、どうやら狙ってたわけじゃないらしい。
でも何だかそろそろ危なさそう。

急がなくては!
セイラに近づく。

煙玉もまた光始めている!
いけない!
急いで『障壁(ブロック)』をセット
『自動詠唱(ロード)』!!

二人の前に出した魔法の壁が煙玉の光の矢を防いだ。

「ふぅ、危ないとこだったー」

「早く逃げて!」
セイラが動こうとしないノノンさん
の手を引っ張って離れてくれた。

よし!
『障壁(ブロック)』ともう一枚、
『✖️6(キューブ)』の魔法陣を取り出してセットした。
『自動詠唱(ロード)!!』

6枚のブロックが煙玉を取り囲み、そのまま四角い箱になって閉じ込めた。

効率の良い魔法の使い方か…
確かにこの間よりもラクに戦えたかな。
やっぱり頭も使わないとダメなのかー。

煙玉はしばらく箱の中でゴトゴトやってたみたいだけど魔法の力が切れたのか、ちょっとしたら静かになった。

『障壁✖️6(ブロックキューブ)』を解除。
魔法陣を回収。

魔法陣の走書きには『雷雲』と書いてあった。

「ら…い、うん?電気と関係ある言葉なのかな?」※

※メグミは人工的に作られた環境で生まれ育ってきたので雷のことを知りません

さぁて、変身解除でもしましょうかと思ったその時、
「ちょっと!あなた!」
いきなり呼びかけられてビクっとなる私。
誰?

ビクビクしながら振り向くと怖い顔をして立っているノノンさん!と必死に止めようとしてたんだろうなという感じのセイラがいた。

「なん…でしょうか?」
ツカツカとノノンさんが私のすぐ近くまでやってきた。

じっと私をにらんでる。
近い近い…。

「あなたが何者で何を企んでるかは知らないけど、とりあえずお礼を言っておくわ」

「え?あ、はい…」

ノノンさんはそれだけ言うと回れ右して、さっさと行ってしまった。

セイラもあっけにとられてその場に立ちすくんでいる。

あー緊張した。
バグズの相手をするより疲れたかも。

「セイラ、ありがとね!」
「メグ先輩もご苦労さまですの!」
抱き…ついてこなかった。
あ、変身中だから?
彼女なりのポリシーなのだろうか。

「それじゃ、ひとまず部室に戻ろっか」
「はいですの」

途中、セイラに『雷』について教えてもらっている内に部室に到着。

「さあて、あれ?」
誰かいる!?
「メグ先輩、どうかされました?…!」

「ノノンさん!?」
なんとそこにはノノンさんが、当たり前かのような顔で座っていた。

「遅かったな」
「どうしてここに!?」
「入部する事にした」
「急ですね?」
「さっきそこで魔法生物と魔法陣使いに会ってな」
「はぁ…」
「書架探訪部(ここ)」は、魔法陣の事を調べているのだろ?」
「はい、一応」
「じゃあ、決まりだ」
「えぇ…」
「但し!ここには私が来たい時にだけ来るから」
なんとフリーダムな。

「分かりました!」
ここでセイラが元気に返事をした。
え、いいの?
「それじゃノノンさんは幽霊部員からのスタートですね!」
幽霊部員って。

「え、あ、いや…」
さすがのノノンさんも戸惑ってる。
「少しずつ、お知り合いになって部員を目指して下さいね!」
幽霊部員ってランクアップするものなのか?
「そういうつもりでは…まぁいい」
ノノンさん諦めのポーズ。
「それじゃ入部決定ですね!」
セイラと顔を合わせる。
「よろしくお願いします!!」

これで魔法陣の秘密に一歩近づけた。
まずはノノンさんともっと親しくならないと。
お友達になれるかな。

(第09話終)
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魔法陣使い#08

第08話「勧誘(前編)」

宇宙に浮かぶ円盤都市コズモス。
ここに住む女の子たちの物語。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

昨日は色んなことがあった。
空を自由に飛べたり、謎の人物から命を狙われたり、後輩に正体がばれたり。

それにしてもエネルギー効率の良い魔法陣とか、なんかイメージしてたものより現実的。

次の日、セイラと待ち合わせてMブロックの繁華街に行ってみることにした。

待ち合わせの場所にぎりぎり到着。
セイラはすでに待っていた。
「メグ先輩!」
「おはようセイラ」
「お体の方はもう大丈夫なんですか?」
「うん、一晩寝たら戻ったよ」
「良かったー!」
私の健康を確認してからやっぱり抱きつかれてしまった。

セイラをふりほどきながら目的地に向かう。
結局あの時魔法陣を回収できなかったので、まだ残っていないか探しに来たのだ。

現場に到着。

『旋風』の時とは違い、暴れたのが『火炎』のバグズだけに、あちこちに『KEEP OUT』のバリケードテープと焦げ臭い匂いが漂っていた。

「ニュースでは連続不審火という扱いのようですわ」

セイラの持ってきた端末でネットの情報を見ながら教えてくれた。

その時の画像もたくさん投稿されていたけど、やっぱりバグズや私の変身した姿は写ってはいなかった。


そうだ!ゴーグルの女の人は!?
…あれ、見つからない。
偶然?それとも彼女も魔法陣使い?
話題にくらいにはなってると思うんだけど。
周りの人はそれどころじゃなかったのかな。

気になるとこだけど、とりあえず今は後回しにしておこう。

昨日バグズと対決した場所あたりにきた。

やっぱりここにもバリケードテープがあちこちに張られていた。

見張りのおまわりさんが立っていたけど火事の現場が多すぎてまだここは現場検証的なものはまだのようだ。

セイラといっしょに慎重に探してみたけど、見当たらない。
一応念のため持ってきたバグズ探知機も反応なし。

残念。
大した手がかりも見つけられないままNブロックに帰ることにした。

やっぱり燃えちゃったのかなぁ。
それともゴーグルの女の人が?

それにしても、あの人の魔法を打ち消す機械なんてなんであったんだろう?
魔法陣だってこの前、大家さんの所で偶然に出てきたとこなのに。

「…」
「メグ先輩、急に黙り込んでどうされたのですか?」
「あ、ごめん、魔法を打ち消す機械のことを考えてたんだ」
「お話しされていたゴーグルの女性が持っていたというものですね」
「うん、偶然にしてはタイミング良すぎな感じで」
「そうですね、ミッドノール先生のお祖父様の資料ではどんなに探してもそれらしい文献が見つかりませんでしたし…」
「これはやっぱり大図書館の立ち入り禁止区域にある本でも探さないとダメかなぁ」
「そうですわね」
「それじゃますますフューリーって人と仲良くなって友達にならないと!」
「ふふっ」
またセイラにちょっと笑われた。

次の日から魔法陣に関する資料探しをしばらくお休みして、立ち入り禁止区域に入る権利を持っているノノン・フューリーさんと仲良くなるための調査をすることにした。

「ノノンさんと言えばこの間の『火炎』バグズの事件があった時間の少し前位に大図書館の立ち入り禁止区域で見かけました」
「へえ」
「何かきっかけをと思いまして、しばらくその場で待っていたのですが…」
あーそれで部室にいなかったんだ。

「10分か15分位経った頃でしょうか、突然、立ち入り禁止区域から飛び出してこられて、声をかける間もないまま駐車場のスクーターに乗って商店街の方に走り去ってしまわれました」

その後、商店街まで歩いて空から降りてきた魔法少女(私)を見つけたとのこと。

なんという幸運。
今思うとセイラが見つけてくれて本当に良かった。
「あの時はありがとね!」
「メグ先輩にお礼を言われてとっても嬉しいです!」

「ノノンさんを探るといっても授業に出なければいけないし、よく考えてみたら結構大変」

「まずは放課後、立ち入り禁止区域の前で待ち伏せしてみませんか?」
セイラが提案してくれた。
それが一番確実かな。
「うん、それでいこう!」

次の日の放課後、セイラと待ち合わせて大図書館の立ち入り禁止区域に行ってみた。

昼間はたくさんの人で静かながらもにぎやかな場所だけど、この時間になるとひっそりとしている。

「あ、いた!(小声)」
ノノンさんだ。
いつもは部室にいる時間だから気が付かなかったけど、毎日決まった時間に来てたのか。

立ち入り禁止区域の前で1時間。
「出て来た!(小声)」

そのまま大学の研究棟へ。
これまた関係者以外立ち入り禁止だ。

仕方がないので近くのベンチに座って出てくるのを待った。

「意外と退屈だね」
「尾行は待つのが基本ですから」
仕方がない、ガマンして待とう。

それから30分ほどしてノノンさんが研究棟から出てきた。

「あの先は…」
「駐車場ですわね」

この間のセイラの話ではスクーターに乗って出て行ったんだっけ。

さすがにスクーターにはついてゆけない。
「女子高生の行動力ではここまでかー」

そう思っていたその時、ノノンさんが振り返って戻ってきた。

あれ?ノノンさん、こっちに来る?
慌てて知らないフリをしてみる。
が、そんなのでごまかせるわけもなく、ノノンさんはまっすぐこっちにやって来た。

「何の用?」
「いえ、私たちはたまたまここにいただけで…」
「大図書館からずっとつけてきてたでしょ?」
「あの…」
「研究棟に入ったあともここで待っていたようだし」
「え?そんな」
黙ってノノンさんは研究棟を窓を指差した。
「あそこからここ丸見えなんだけど」
あぁ〜っ!全然気っかなかった〜!!
「いやぁそのあの」
ノノンさんのジト目が痛い。
その時、
「あの!」
今まで黙っていたセイラが大きな声で話しだした。
「何…だ?」
ノノンさんもちょっと驚きで声の勢いが落ちた。
「私たち、部活動で魔法陣を研究しています!!」
「魔法陣?」
「そ、そうなんです!二人で資料を探してるんですよ」
「でも大図書館では文献が少なくて…」
ノノンさん、あきれた顔でこっちを見てる。
「魔法ならファンタジーのコーナーにいくらでもあるだろう」
「違います!私たちが探しているのは実在した魔法陣の方です!」
「ほう」
ここでノノンさんの顔つきがちょっとだけ和らいだように見えた。

「魔法陣についてどこまで調べたの?」
「それなり、です!」
セイラはあえて答えをぼやかした。
「それなりね、ふーん」
ノノンさんはセイラの話に興味を持ったみたいだ。

「それで私に何を要求するつもりだ」
ノノンさんがストレートに聞いてきた。
「はい、ノノンさんには…」
私が答えようとしたその瞬間、セイラが突然切り出した。

「ノノンさん!入部して下さい!!」
「えぇ〜!?」
まさかの入部勧誘発言。
ノノンさんどころか私も驚いた。

このあとどうなるの?

(第08話終)

魔法陣使い#07

第07話「イレイザー」

宇宙に浮かぶ円盤都市コズモス。
ここに住む女の子たちの物語。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

そわそわしている。
バグズ出現の連絡を待っているのだ。
飛びたい、飛びたい、試したい!
あーでも夕方にならないとバグズも
出てこないんだっけ。今は勉学に勤しもう。

放課後、部室に向かう。
ガラッ
あれ?セイラが来てない?
私より来るのが遅いなんて珍しいな。


その時、私の端末に大家さんから連絡
が入った。
「ミッドノールさん、バグズですか?」

「ああ、今度のはどうやら炎らしい、
場所はMブロックの繁華街だ!」

Mブロックは駅前商店街の線路を隔てた向こう側だ。

「探知機は反応してるかい?」
「はい!Mブロックの方向を指してます!」

探知機の中の宝石がわずかに輝き始めている。

「うん!その方向に真っ直ぐ進めばバグズを見つける事ができるはずだ!」
「分かりました!」

「魔法陣(サーキット)自動詠唱(ロード)!!」

魔法少女に変身!
サーキットリーダーを魔法のホウキに変形させスラスタを全開!探知機を頼りに目的地へ!!

「うわっ速い!」
これまで歩きだったせいもあるけど、空からだと道とか関係なしに一直線で目的地にいける。(爽快…)

着いた、M地区だ!

バグズが暴れただろう辺りに小さな火の手が上がっている。

「これは早く捕まえなくっちゃ!」
探知機の反応を頼りにバグズを探す。

いた!
炎のかたまりだ。

リーダーに魔法陣をセット!
『捕獲(キャプチャー)』!!

『炎』のバグズに向かって『捕獲』の光の檻が取り囲むように伸びる。

「捕まえ…あ!」
『炎』のバグズが四つに分かれ、『捕獲』の檻からすり抜けた!

マズイ!まさか分裂するなんて。
魔法陣『麻痺(パラライズ)』!
今度は見事に命中!

…しかし、『炎』は『麻痺』に打ち消され跡かたも無くなってしまった。

「本体じゃない!」
じゃあこっち?
また違う!

バグズの本体が分からず、まごまごしてるうちに本体が分裂した。

しまった!
とにかく捕まえないと!
『麻痺(パラライズ)』!!

何体か炎を消すことができたけど、本体を捕まえることができない。

それどころか炎の増えるスビードが早くてどんどん増えてきた。

いけない!
このままでは辺りに燃え移ってしまう!
本体さえ分かれば…一体どれだ?

あ!探知機!
手元の探知機を取り出して中の針を見てみる。

宝石が強く輝き一点を指し示しているのが分かる。

あれが本体だ!
今まさに分裂の真っ最中、早く捕まえないとまた分からなくなってしまう。

慌てて魔法陣をセットしようとしていたその時、目の前がパーっと明るくなり、次の瞬間バグズがいなくなっていた。

何?どうしたの?
リーダーと魔法陣を持ったままキョロキョロと周りを見渡す。
他のバグズも消えてしまったようだ。

ん?
少し離れたところに人影を発見。
大きなゴーグルを付け、防弾ベストを着た、多分女性だ。

私の方にやって来た。
「あなたがバグズを倒してくれたんですか?」

長い銀色の髪。
ゴーグルに隠れてどんな顔をしているか分からない。

「そう、私が『バグズ』を消した」
そう言いながらその女性は手に持っている機械を私の方に向けた。

「あの、それは一体…」
「大丈夫、怪我はしないわ」
そうは言ってるが何やら嫌な予感。

「あなたが『バグズ』じゃないならね」

その女性の持っている機械の先がまぶしく光りだした!

ピカッ!

予感的中!
危ないところで避けた!

ぶ、ぶぶ『障壁(ブロック)』!
慌ててそれっぽい魔法陣をロードした。

ゴーグルの女の人の前に魔法の壁が現れる。

でもすぐにピカッと光ったかと思うと魔法の壁は消えてしまった。

『障壁(ブロック)』!『障壁(ブロッ)』!!『障壁(ブロック)」!!!

頭がパニックになりながら、とにかくいくつも魔法陣をロードした。

ゴーグルの女の人は何度か光らせて『障壁(ブロック)』を消してたみたいだったけど、そのうちに光らせなくなった。

諦めてくれた?
今の内!
「魔法陣『浮遊』!『疾風』!」
サーキットリーダーをホウキ型に変えその場から飛び去った。

あとは、その場から離れたかった。
Mブロックから線路を越えてようやくいつものNブロックまで戻ってきた。

フッと安心したせいか、急に疲れが襲ってきた。

「あれ…?」
なんかヘンだぞ?
私何でこんなに疲れてるの?

いけない…このままでは、途中で落っこちてしまう。

疲れで気を失いそうになりながら何とか商店街近くの森にたどり着いた。

「もう限界…」
私は気を失った。

(あ、誰か近づいてくる…)

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

夢を見ない真っ暗な時間。
一瞬のような、それともずっと長いような。
よく分からない内に目を覚ました。

いつものベットにいつもの天井。
…ここは、いつもの自分の部屋だ。

薄暗いから朝じゃない。
あれ?いつ寝たんだっけ?

上半身を起こして周りを見る。
あれ?
「セイラ?」
「先輩?良かったー!!」
いつもより、ちょっぴり優しめに抱きついてきた。

「私、どうして…」
まだ考えがまとまらない。

「メグミ先輩は商店街の脇の森で気を失っていたんですよ」

「森で…」
やっぱりNブロックのことは夢じゃなかったんだ。

「セイラが見つけてくれたの?」
「はい、先輩が空から降りてきて…」

「あ、う、セ、セイラ、見たの?」
「はい!最初は不思議な格好の女の子だなと思ってたのですが、降りたらすぐに先輩の姿に変わられて、びっくりしました」

やっぱり見られてた!
「セイラ、あのね、実はね」
「大丈夫ですよ、ミッドノール先生からこれまでのことみんな聞きましたから」
「あ、そうなの?」
大家さん、あっさりと教えたなぁ。

よく見たらセイラの脇に魔法陣の資料が山積みになっていた。

そのあと、大家さんと奥さんに目を覚ましたことを知らせ、私の部屋でこれまでのことを話した。

「魔法を物理的に打ち消す機械か、そんなことができるなんて考えもつかなかったなぁ」

「私の魔法も消されちゃいました」
「そういえばメグミちゃんはいくつも魔法で『障壁(ブロック)』を出したって言ったね」
「はい、怖くて10個か20個か、何個出したか良く覚えてません」
「なるほど」
ここで大家さんはちょっと考えて。
「メグミちゃんの極度の疲労は、やっぱり魔法を使い過ぎかな」

「ミッドノール先生のお祖父様の仮説によると魔法は別の世界のエネルギーだそうですね」

セイラは私を看病している間、魔法陣に関する資料を読み漁っていたそうだ。
もはや私より詳しい。

「そう、そのエネルギーを魔法石やその力を媒体する体質の人間が別の世界から取り出している、大雑把に例えると大きな水のタンクに蛇口を付けて水を出しているって感じかな」

「えっと…魔法が水で私が蛇口ってことですか?」

「そう、全身を使って別の世界から魔法を取り出しているから、たくさん魔法を使うという事はたくさん体力を使うという事だね」

あぁ、魔法ってもっと頭脳労働なものかと思ってたんだけど結構体力が必要なんだな。

「あと、ゴーグルの女性が『障壁』の削除を途中で諦めたって言ったけど、何回目くらい?」

「ちゃんと覚えてないんですが、3回か4回目くらいだったと思います」

「随分早く諦めちゃってるんだな、大量にエネルギーを消費するか」
「物理的な弾数があるのでしょうか?」
セイラが話を合わせる。

「今後はこの事についても調べよう」

ちょっとシリアスな雰囲気になっちゃったが、セイラの一言ですぐに元に戻った。

「それにしてもメグミ先輩、可愛かったですよー魔法少女の格好♪」
「ちょっとからかわないでよ!」

気にしてないつもりだったけど改めて言われると恥ずかしい。

次、変身する時はデザイン変えようかな。

(第07話終)
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Author:POP.OFF
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