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魔法陣使い#06

第06話「飛翔」

宇宙に浮かぶ円盤都市コズモス。
ここに住む女の子たちの物語。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

じーっとこれまで回収してきた魔法陣を見ている。

「メグミちゃん、どうしたんだい?
そんなに真剣に魔法陣を見つめて」
「魔法陣を組み合わせて何か出来ないかなって考えてました」
「はは面白いね、この間も『浮遊』の魔法陣を上手く使ったんだっけ?」
「はい、せっかくなんだからもっと使い方を工夫したいです、例えば…」

『浮遊』と『旋風』を組み合わせて今度こそ空を飛びたい!

「どうですかー?」
「面白そうだね、だけどどうやって飛ぶつもりだい?」
「それはこれから考えます!」
「ははは、試すのはいいけど怪我しないようにね」
「はい、任せておいて下さい!」

「それじゃあ魔法陣の活用法は、ここまでにしておいて、最近のバグズの噂をまとめてみたよ、これを見て」

大家さんの端末のモニターにこの辺りの地図が表示されている。その上に何箇所か丸印が描かれている。

ここ最近のバグズと思わしき事件の発生地点だ。

駅前、公園、ショッピングモール、人が集まっている場所が多い?

「目撃されている時間帯は夕方が多いみたいだね」
「昼間は眠ってるんでしょうか」
「魔法生物というものは、そういうものなのかも知れない」
「強い光に弱い、とか?」
「うん」
やっぱりバグズって幽霊・妖怪っぽい。

「それで他に何か探すのに役に立つものはないかと祖父の資料を探してみたんだけど、こんなのを見つけたよ」

手のひらに収まるくらいのサイズの丸いケースの中に小さな宝石が入っている。
その宝石は矢印状の板の上に乗せられ真ん中で回転するようになっていた。

「これコンパスですか?」
「そう、魔力に反応するバグズ探知器さ」

中の矢印はわずかに揺れるだけで、どこも指してないようだ。

「バグズの行動が活発になったら反応するようになるはずだよ」

大家さんは私に探知器を渡してくれた。
「これで今までよりバグズ探しがラクになるといいんだけど」

次の日の放課後、セイラに抱きつかれながら『浮遊』と『旋風』の上手な利用法を考えた。

「セイラ、浮いてるものを自由に動かす方法知らない?」
「今日は一段と不思議な質問をされますわね」
セイラが私から離れて端末に向かった。
さすがにどう検索したらいいか悩んでるようだ。(そりゃそうだ)

「宇宙船の姿勢制御スラスタみたいなものでしょうか?」
「スラスタ?」
「はい、宇宙港で宇宙船が着岸する直前にプシューって吹き出しているあれです」

あぁ、あれか。
子供の頃、親に連れられて宇宙港に行った時、宇宙船が珍しくて飽きずにずっと見ていたことを思い出した。

「あれって姿勢制御してたんだ」
「はい、ジャイロや重力コントロールも使用しますが最後の微調整は人の目と手でスラスタを操作するそうです。

以外と職人技の世界なんだな。

「なるほど参考になった、ありがと!」
「先輩に喜んでもらえて嬉しいです!」

すっかり話が脱線してしまった。
魔法陣、魔法陣。

「それでこの間、立ち入り禁止区域に出入りしていたヒトのことなんだけど」
「はい、調べてみました、端末からの情報検索では見つからなかったので、父のツテを頼り探ってみました」

え?何それ?話が大げさになってきた?

「フューリー家は、地元の名士なのでご家族の情報もある程度は、知る事ができるのですわ」

個人情報が隠しきれないとかお金持ちは大変だなー。
それにしても情報源がさすがお嬢様。

「附属大学に通われているのは、フューリー財団の後継者候補の一人、ノノン・フューリーさんだそうです」

「へえ、やっぱりこの学校の学生だったんだ」

「今年で20歳とのことなので、私が見かけた方に間違いないと思います」

「何とかこの人と知り合いになれないかな、そうしたら立ち入り禁止区域の本も読み放題なのに」

「メグミ先輩はストレートですね」
「あれ?なんか変だった?」
「いいえ、そんなメグミ先輩が大好きです!」
また抱きつかれた。

「それじゃもうちょっとノノンさん?のこと調べてもらえるかな?」
「はい!喜んで!では新しい事が分かりましたら、ご連絡します」
「ありがと!」

私は下宿先に戻り、急いで屋根裏部屋に行った。
部室で聞いた『スラスタ』を試すのだ。

サーキットリーダーを手に取り、魔法少女に変身してからの
「魔法陣『浮遊(ゼログラビティ)』!
『旋風(サイクロン)!』」

サーキットリーダーが魔法のホウキっぽく変形した。(イメージって大切だ)

一番最初の失敗した時のことを思い出して、ちょっとためらったけど思い切ってまたがってみる。

フワッ
あ、この感じ。
低重力ルームと同じだ。

ほうきが浮いているんじゃなくて、私も一緒に軽くなってるんだ。

この感覚なら経験済み。
なんとかなりそう!

ほうきの柄をぎゅっと持って下側のスラスタに意識を集中する。

プシュッ
浮いた!
というより上に移動した、なのかな。
上下左右のスラスタを細かく噴射してバランスをとる。

宇宙船がやってたのはこれかー。
幼い頃のことを思い出して懐かしい気持ちになった。

少しずつ少しずつスラスタをふかして動きを見る。

だんだんとコツがつかめてくる。
そろそろ大丈夫かも。

前進後進上昇下降、そして思い切って一回転!できたできた!

「ミッドノールさん!できました!」
「すごい上達っぷりじゃないか!!」

この間はバランスを取ることも難しかったけど。今回は大丈夫!あぁ屋根裏部屋しか飛び回れないのがもどかしい。

「ねえミッドノールさん、このまま外に飛び出してもいいですか?」

「あ?えーと」
さすがに止められた。

「まずはここで十分練習して、いざという時に万全な状態にしておこう!」
なんか上手く誤魔化されたような気もするけど、『旋風』バグズの時の練習のことを思い出して、素直に大家さんの言う通りにしておこう。

なんだかバグズが出るのが楽しみになってきてしまった。

いけないいけない!
なるべくバグズが出ないことを祈らないと!

…この後、こっそり下宿を抜け出して空を飛んでしまった。最高にいい気持ち!!

(第06話終)
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閑話休題20150820

冬コミの申込終了。

C89サークルカット

受かるといいね。

魔法陣使い#05

第05話「旋風(後編)」

宇宙に浮かぶ円盤都市コズモス。
ここに住む女の子たちの物語。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

街で暴れ回る『つむじ風』のバグズ。
すばしっこくて高いところまで飛ばれたら、今の私では捕まえることができない。
でもこの間みたいに路地裏まで追い詰めることができれば、次はきっと上手くいく…かも!

昨日の遊興施設で練習したことがきっと役に立つハズ。
それにしても0.3Gから1.0Gに戻した時の疲労感※がすごい。
今日になってもちょっとダメージが残ってる。

※海やプールから上がった時の感覚の数倍すごいやつだと思って下さい。

これは午前の授業から眠気との戦いだな。

zzz...

放課後、ランたちに昨日のことをからかわれつつ二人と別れ部室に向かった。

「メグミせんぱーい!」
今日もセイラは飛びついてきた。
「この前は途中で帰っちゃってゴメンね」
「急だったんでビックリしましたよ、
あの日は商店街で妙な騒ぎがあったんでひょっとして巻き込まれたんじゃないかと心配してました」
セイラの真面目顏。
ちょっと可愛い。

「でも何もなかったようで何よりです、
元気なメグミ先輩が見ることができてセイラは嬉しいです!」
また飛びついてきた。

「それでこの間の続きなんだけど、いいかな?」
「はい!もちろん!あ、そういえば…」
思わせぶりなセイラの態度。
「どうしたの?」

「先ほど立ち入り禁止区画に入ってゆかれる方を見ました」
「え?それほんと?どんなヒトだった?」
「綺麗な長い金髪の女性の方でした、
お歳は大学生くらいでしょうか」
「学生?あそこってフューリー財団の関係のある人しか出入り出来ないんじゃなかったっけ?」
「確か財団関係者に、ここの大学に通われている方が一人いたはず」
おお、ちょっとだけ進展。
「そのヒト…」
といいかけた瞬間、またもタイミングの悪いことに私の端末の着信音が鳴った。

慌てる私。
正面には顔を曇らせているセイラ。
「ゴメン!セイラ!今日も急用ができちゃった!」
「メグミ先輩…」
「後でいっぱいギュッとしてあげるから、許して!」
勢いで言っちゃったけど、今は仕方ない。
「はい!いつまでもお待ちしております!」
一気に表情が明るくなったセイラを置いて学校を出た。
「もしもしメグミちゃん?また出たよ、
多分同じやつ!」

大家さんの情報によると現れたのはこの間の『つむじ風』のバグズ。
やっぱり駅前の商店街に現れたそうだ。

私はその足で直接商店街に向かった。
いた!
『つむじ風』のバグズがまたも暴れまわっている。

私は路地裏に駆け込み。
カバンからリーダーと『変身』の魔法陣を取り出した。

「魔法陣(サーキット)自動詠唱(ロード)!!」

魔法少女に変身!

「バグズ!今日は逃さないわよ!」

サーキットリーダーに『麻痺』と

『捕縛』をセット。

バグズに向かってトリガーを引く。

外れた!

でもそれは予定通り。
続けて2、3回と『捕縛』をロードしてバグズをこの間みたいに路地裏に追い込んだ。

ここまではこの間と同じ。
だけどここからは違う!

胸に装着している『変身』の魔法陣に手を当て、もう一度変身した自分の姿をイメージする。

いつもの魔法少女コスにアレンジ!
ふんわりスカートは短めに、
ドロワーズはスパッツに、
ベースカラーをピンクからブルーに!

「イメージした通りに変身できた!」
さぁ、ここからが本番。

魔法陣『浮遊(ゼログラビティ)』!

体が宙に浮き上がる。
「自由に飛び回ることは出来ないけど、
ここなら!」

勢いよく壁を蹴る!
反対側にきたらまたジャンプ!

ジャンプを繰り返してバグズに近づく。
そして狙いをつけて、
魔法陣『捕縛(キャブチャー)』!!

やった!
魔法の檻の中でバグズが魔法陣に戻ってゆく。

「魔法陣回収成功!!」
心地よい疲労感。
カードの使い方を自分で思いついて上手に使いこなすことができた。

この『旋風』の魔法陣、何かに使い道はないかな?

(第05話終)

魔法陣使い#04

弟04話「旋風(前編)」

宇宙に浮かぶ円盤都市コズモス。
ここに住む女の子たちの物語。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

この頃は、朝起きで真っ先にニュースのサイトをチェックするのを習慣にしている。

『Nブロック』という地域のカテゴリに最近のバグズの引き起こした事件が小さく扱われている。

個人投稿サイトほどの速報性はないけど、大体のことが分かる。

バグズの話題探しは大家さんに任せて放課後いつも通り大図書館にある『魔法陣』についての資料を探すことにした。

「うーん、見つからないなー」
「結構古い資料もありますのに」
「やっぱり立ち入り禁止区画に行かないとだめなのかなー」

立ち入り禁止禁止区画とは、歴史的に価値の高い書籍などを収めた書架のある区域のことで、出入りは厳重に制限され、大図書館の創設者であるフューリー財団の関係者しか入れないそうだ。

今の私たちにはレベルが高すぎる…

「今日はこの書架だけでも探してみましょう」
「うん」
その時、私の端末の着信音が鳴った。
「あ、セイラごめん!急用が出来ちゃった!」
「メグミ先輩ー!」
チョットだけ悪い!と思いながら大図書館を後にした。

急いで端末の受信ボタンを押した。
「ミッドノールさん、どうしましたか?」
「出たよ!メグミちゃん!まだはっきり分かんないけど、バグズだと思う!」

バグズが出たのは駅前の商店街。
つむじ風が暴れているという。

大家さんから転送された動画で確認した。
見慣れた商店街の風景にピントが合わずモヤモヤしてるモノが写ってる。
なるほどバグズだ。

「商店街ならここからすぐです!直接、バグズのところに向かいます!」
「分かった!気を付けて!」

走りながら商店街に通じる道を走る。

「いた!」
バグズだ。
映像とは違いはっきりとしたつむじ風の形をしたものが自分の意思を持っているかように商店街の中を暴れ回っている。

私はすぐに近くの路地裏に入り魔法陣をサーキットリーダーにセットした。

「魔法陣(サーキット)自動詠唱(ロード)!」

魔法少女の姿になって『つむじ風』のバグズのところに行き、この間と同じように『麻痺』と『捕縛』の魔法陣をロードした。

『捕縛』の魔法がバグズへと伸びる。
「あ!」
バグズの方が一瞬早く『捕縛』から逃れてしまった。
「速い!」
慌てて走って追いかけるがあと一歩のところで捕まえることができない。

つむじ風を追いかけて商店街を駆け巡る魔法少女。ちょっとシュール。

…なんてそんな事は言ってられない。
追いかけながら『麻痺』や『捕縛』を使いながら何とか路地裏に追い詰めた。

ここでもう一度、
『捕縛(キャプチャー)!!』
今度こそ!…あ、あ、逃げられた!

空高く逃げられてしまった。
もうどこに行ったかも分からない。

後に残るのはバグズに逃げられて脱力している魔法少女が一人…。

「完敗…」
その日は帰って屋根裏部屋の大家さんのところにちょこっと顔を出しただけでそのまま自分の部屋に戻って眠ってしまった。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

真っ暗な世界。ここはどこ?
遠くからビュウビュウという音と共に何が近づいてくる。あ、『つむじ風』!

慌てて近寄ると、どんどん高く飛んでゆく。自分は何もできないどころか足が地面に埋まってゆく。
抜けない、動けない。
ああ、『つむじ風』が見えないところまで離れてゆく追いつかない。
…目が覚めた。

夢を見ていたみたいなんだけど、どんな夢だったかよく覚えてない。
後味の悪さだけが残ってる。

なんて目覚めの悪い朝。
目覚まし代わりの端末にセイラからのメールが届いていた。後で謝っとかないと。

気分以外はいつもの学校。
最悪のテンションで机に突っ伏していたら、私の気持ちを知ってか知らずかランとコシカが話しかけてきた。

「おっはよーっメグーっ!聞いた?昨日の駅前商店街のオバケ騒ぎ!」
「また魔法少女が現れたんですって!」

早速昨日のバグズの話をしてきた。

「つむじ風みたいのがそこら中、暴れ回ったってやつでしょ?」
「そうそう、この間のふわふわ浮いてるんじゃなくて、つむじ風だもんね、迷惑度もアップだよ!」
ラン、なんか嬉しそう。

「でも折角あの魔法少女も来てくれたのにオバケには逃げられたみたいで…」
コシカはちょっと残念そう。

「最近になって急に変な事、起きるようになったよね、なんか隣のブロックでも出たらしいよ」

え?そんなの私聞いてない!
「ラン!隣のブロックってどこっ?!」
予想外の情報に思わずランに前のめりになって聞いてしまった。
「あ、あ、えーと、確かOブロックの中央公園…だったかな?そこにいたみんなの体が急に重くなったんだって」
『重力』…のバグズ?

「それでどうなったの?」
「立てなくなるくらい体が重くなったんだけど、ちょっとしたら元に戻ったんだって」

「人知れず魔法少女が助けてくれたのでしょうか?」
相変わらずコシカは魔法少女推しだ。

いや、私は知らない。
でもバグズといい、似たような事が他でも起きているという事なのだろうか。

一応、後で大家さんに連絡しておこう。

その後、特にいいアイデアも思いつかないまま、放課後になってしまった。

今日はセイラの習い事の日で部活は休み。
さて帰ろうかなと思っていた時、ランとコシカが話しかけてきた。

「ねえ、今日は部活休みなんでしょ?帰りちょっとだけ遊んでかない?」

「んーまあいいけど」
たまには帰宅部の活動に参加するのも気分転換にはいいかも知れない。

二人に手を引っ張られてやってきたのは昨日の駅前の商店街。いきなりテンションダウン↓。
「この辺この辺、昨日の騒ぎの場所!」
えー、まさかこれを見に来たんじゃ…
「心配していたよりも被害が少なかったようで何よりです」
本当だ。
でも昨日はもっと目茶苦茶になってたハズだけど、一日でここまで戻ったのかな。
すごい。

「ここ、ここ!」
お、ここは…
『総合遊興施設』

「そ、たまには体動かして遊ぼうよ!」
ここにあるのは何となく知ってたけどぼっち体質の自分には縁がない場所だと思ってた。
「あたしたちも滅多に来ないんだけどね」
「たまにはいいかなって」
「うん、ありがと!」
「それで何して遊ぼっか?」
「メグちゃん、どうする?」
「うーんと」
店のディスプレイには、室内スポーツやゲーム、体験型アトラクションなどが並んでいる。
…お?
「低重力ルーム?」
「面白いの選ぶじゃん」
「これにする?」
「うん」

『低重力ルーム』
ここはゲームではなく施設を提供している。
天井・床・壁全部柔らかい材質で出来ていて低重力の中で暴れまわってもケガしないようになっている。
頭と首を守るための簡単なブロテクターを華係りの人に渡されて部屋の中に入る。

「プロテクターっていうから何かと思ったら結構すっきりしてるじゃん」

初めての事でちょっと浮ついた感じでブロテクターを装着する。
コシカは長い髪の毛のせいで装着に手間取っていたけど、ランが手伝ったおかげで何とかなった。

全員のブロテクターの着用が確認されるとモニターにOKサインが点灯した。

わくわくドキドキしながら起動!
足元から頭にかけて体中からスーッと重さが抜けていくのを感じる。
モニターの表示が1.0Gから0.9、0.8、0.7と減ってゆき0.6Gのところで止まった。

「ねえ、0.6って中途半端じゃない?」
「主星ソラの衛星の重力なんですって」
「へぇー」
大して興味も無かったけど、その情報に対して素直に感心した。
「二人とも!そんなこ・と・よ・り、やぁーっ!」
「おぉ」
「まぁ」

ランが力いっぱいジャンプした。
自分の背を軽く超えるくらいの高さだ。
「ねぇ見て見てあたしすごーいっ!」

「よぉーしっ!私も!」
ランのマネをして自分も思いっきり飛び上がってみた。
「おぉ!」
なるほど、これは楽しい!
ちょっと飛び上がっただけでいつもと違う風景が見えてくる!
「!」
あれ?これ、ひょっとして…
「ねぇ、これもうちょっと重力下げること出来る?」
コンソールの近くにいたコシカに聞いてみた。
「え?あ、はい、えーっと少しだけなら操作出来そうです」
「それじゃ下げられるだけ下げて!」
「気を付けて下さいねー」
『0.3』
ぐっと体が軽くなる。
ほとんど無重力みたいなものだけど少しだけ床の方向に重さを感じる。

「それっ!」

壁の方向にジャンプ!
壁まで着たら反対方向にジャンプ!
もう一回!
「おぉ!チャレンジャーだねーメグーその遊び面白ーい!!」

体が軽く大きくジャンプできる代わりにバランス取るのが激ムズ…でもこれなら何とかなりそう!

あとちょっと、あとちょっと!
何かつかめたかも!

しばらくして。
「メグー、そろそろ終わりの時間だよー」
「あーゴメーン、今降りるー」
時間の経つのを忘れて熱中してしまった。

「ゴメンね、二人とも」
ランとコシカに頭を下げる。
「せっかく誘ってくれたのに、ほとんど一人だけで遊んじゃって」
「いいよそんなこと、メグが気分転換できたみたいで良かったよ」
「うん」

なんてありがたい言葉。友情に感謝!

「それより大丈夫ですか?」
「え、何が?」
「これから1.0Gに戻すけど」

あれ?
よく考えたらランとコシカは途中から退避区画(常時1.0G)でずっとくつろいでたような気が、

「あ、ちょっと待っ…」
そんな私の切実な願いもむなしく無情にも0.3Gの世界から一気に1.0Gが支配する現実に引き戻されたのであった。

「前言撤回〜!鬼〜!!」

(第04話終)

魔法陣使い#03

弟03話「友達と後輩」

宇宙に浮かぶ円盤都市コズモス。
ここに住む女の子たちの物語。

◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇◇

『浮遊』の魔法陣を回収したあと、そそくさと下宿先に戻った。

「ミッドノールさん、
ただいま帰りましたー!」
「おかえり、メグミちゃん」

「ミッドノールさん!出ましたよ!」
「え、なに何?」
早速、さっきのことを話した。

「ええ!もうバグズに遭遇したのかい?!」
「はい」
「それで大丈夫だったかい?」
「はい、なんとか」
「ふう、良かった」
バグズの話で大家さんの顔が一瞬こわばったが、私の答えを聞いて安心したようだった。

「念のためメグミちゃんにリーダーを持っておいてもらって良かったよ」

「はい、それでこれがその時の魔法陣です」
「ありがと!これは…『浮遊』の魔法か、メグミちゃん良くやったね!まずは怪我もなくて良かった!」

「それでその魔法陣なんですけど」
「うん?」
「『浮遊』ってことは空を飛べることですよね」
「あぁ、そうかも知れないけど…」
「試してみません?」

「うーん…」
大家さんはちょっと迷ったようだったが、やはり好奇心には勝てなかったみたいだ。
「それじゃちょっとだけ試してみる?」
「はい!」
そうこなくっちゃ!

「魔法陣(サーキット)自動詠唱(ロード)!!」
早速私は魔法少女に『変身』し、大家さんから手渡された『浮遊』の魔法陣をリーダーにセットしてトリガーを引いた。
カチリッ

フワッ
お?浮いてる?でも?
「あれ?あれ?」
思ってたよりも姿勢が安定しない。
「メグミちゃん!大丈夫?」
「あんまり大丈夫じゃありませーん!」
見学で体験した無重力区画みたいな最高にもどかしい感覚。
今、私絶対恥ずかしい格好になってる!
「イヤ!見ないで下さい〜!!」
「そんなこと言ってる場合じゃ、早く『浮遊』の魔法陣を解除して!」
あ、そうか。慌てて魔法陣をリーダーから抜いた。
そしてそのまま落ちた。

ドスンッ!
お約束のように大家さんの上に。

「あ痛〜っ!」
「すすす、すいませーん!!」
「いや〜怪我はない?」
「はい」
「初めての時みたいに上手くいかないもんだね」
「やっぱり練習しなくちゃですかね?」

その後、何回か試してみたけど大して結果は変わらず、その日は諦めて適当に切り上げた。

次の日、登校した途端、ランとコシカがものすごい勢いで話しかけてきた。

「メグ!聞いてよ!」
「ちょっといきなり何よ?」
話の内容は予想がついてたけど、一応、相槌を打った。
「昨日、変な事件に巻き込まれちゃったんだよ!」

「事件?」
「はい、メグさんと別れたあと駅前に向かう道を歩いていたら、突然変なオバケに襲われたんです!」
いつもおっとりのコシカがちょっと興奮気味だ。

「いきなりコシカとあたしの体が浮いちゃってさあ、もうどうなる事かと思っちゃったよー」
「はい、でもすぐに不思議な格好の少女が現れて…」
「そうそう、その子に助けてられてさ」
「何も言わずに立ち去って」

「結局ホロメ撮れなかったんだよねー、なんか近くにいた子も端末の調子が悪くてダメだったんだって」

やっぱりセンサーが効かないんだ。

コシカの方は魔法少女のことが気になってるらしい。
「小さくて可愛らしい子でしたよー、一体どなただったのでしょう?」

ごめん、私だ。

他にもその事件を目撃した人たちもいたみたいで早くもネットの個人発信の情報網でもちょっとした話題になっているようだ。

ランの話によると本当か嘘か分からない情報の書き込みも増えてきているらしい。

「!」
ここでひらめく。
多くの話題が出ている場所が分かれば、バグズの出没する場所も特定できるかも?

忘れないうちに大家さんに連絡した。
「…なるほど、センサーは使えないけど世間の噂話を集めることはできるんだ、試しにちょっと探してみるよ」

「さてと…」
情報収集は大家さんに任せるとして、2、3日寄ってなかった部室に立ち寄ってみることにした。

「メグミせんぱーい!!!」
早速、後輩のセイラが飛びついてきた。
「どうしたんですか、ここしばらく部室に来てくれなかったじゃないですか!」

蘭堂・R・セイラ。
フューリー大図書館附属学園
中等部の2年生だ。
ロウ族のちょっとだけ(本人談)いいとこのお嬢様らしい。

「ごめん、下手先の手伝いが長引いちゃって」
まとわりつくセイラをいつものようにふりほどきながら謝った。
「そう、それなら仕方ありませんわ」

因みに部の名前は『書架探訪部』。
大図書館にある数え切れないほどの書架を訪ね歩く事を目的とした部なのである。

実際はセイラの持ってきたお菓子を食べたり、レポートを手伝って!もらったりしているだけなんだけど。

折角だからここで調べられることでも調べようかな。

「セイラ、ちょっと調べて欲しい事があるんだけど」
「はい!何を調べるのですか?」
「その、魔法陣の事なんだけど」
「魔法陣?ファンタジー小説などで扱われる題材の事ですか?」
「うん、そうなんだけど調べて欲しいのは実際にあったやつの方」
「実際に?」
そう言っセイラはちょっと考え込むような顔をした。
あれ?私、思ってたよりも非常識な事言っちゃった?
「分かりました!探してみましょう!」
セイラは、手元の端末を操作して『魔法陣』についての情報を検索してくれた。

カタカタとタッチ音が時折つぶやかれるセイラの独り言と共に部室に響く。

しばらくして検索が終わった。
「ここ100年のデータを検索しました、「『魔法』『魔法陣』などで調べてみたのですが、有効な情報は見つかりませんでした」
「ありゃ意外とないもんだね」
「もうしわけありません…」
「いやいいのよ、ありがとね」
「でも手がかりになりそうな情報がありました」
「え?どんな?」

セイラの説明してくれた内容によると今から300年以上昔、コ族の旧帝国時代の末期、ほんの一時期だけ魔法陣(錬金術の
一環として)が研究されていたとのこと。
旧帝国の衰退と共に、錬金術は科学に分化して魔法陣を含む超自然的な要素は切り捨てられてしまったらしい。

「へー結構、古いものなんだね」
「はい、私も真面目に研究されていた時代があったなんて知りませんでした」

「そこでこの大図書館の蔵書コレクションなのですわ!」
「お、紙の本!」
「はい、ここはコ族由来のフューリー財団が運営している図書館、旧帝国時代の本もあるかも知れません!」
「さすがセイラちゃん冴えてるー!」
抱きつきたい気分だったが、やりすぎると後で面倒なのでガマンした。
「セイラもメグミ先輩に喜んでもらえて嬉しいです!」

問題はどう探すかか…
「今日は遅いからまた明日にしようか」
「私はメグミ先輩とならこれから一晩中でも良かったのですけど…残念ですが明日にします」

とりあえず、大家さんにも帰ったら伝えておこう。

何か分かればいいな。

(第03話終)
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